PlayStation 2(プレイステーション2)の凄いスペックまとめ

どんなゲーム機?

SONYより2000年3月4日(平成12年3月4日)に発売された家庭用ゲーム機です。発売日まで連日異なるCMが用意されていて、見るたびにわくわくしていたのは今でも思い出されます。

前世代のPlayStationで任天堂のNINTENDO64、SEGAのSEGASATURNを破り、シェア1位の座を勝ち取ったSONYのイケイケ状態で本機種を発表し、話題となりました。

当時注目されていたのは「DVDプレイヤー機能」と「圧倒的なグラフィック性能」です。当時はDVDプレイヤーデッキを普通に購入しようとした場合6~10万円程で非常に高嶺の花でした。しかし、このPlayStation2の登場で綺麗でハイスペックなゲームが遊べてDVDも見れる、そして価格は39,800円という価格で市場の低価格化とともに活性化にも繋がりました。

そして本機種と同時発売されたゲームソフト、ナムコ(現:バンダイナムコゲームス)の「リッジレーサーV」の映像は子供だけなく大人も本物と見分けがつかないとマスコミも含めて大変話題となりましたね。
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20000310/game.htm

さらにシェア1位を獲得したPlayStationとの互換性があり、PlayStaion2だけでなくPlayStationのゲームも遊べる点はソフトウェア資産として大事にしていることが伺えます。任天堂もファミコンの時代から構想はありましたが、携帯ゲーム機→据え置き型ゲーム機のスーパーゲームボーイのみでしか実現しておらず、SONYに先を越された展開となりました。

性能・スペック

製品名
PlayStation2
メーカー
CPU
製品名
Emotion Engine (エモーションエンジン)
CPUコア
128ビット RISC (MIPS・-subset)
動作クロック
294.912MHz
整数演算ユニット
64ビット (2-way superscalar)
マルチメディア拡張命令
128ビット×107種類
GPR(整数レジスタ)
128ビット×32本
TLB
48ダブルエントリー
キャッシュ
命令キャッシュ: 16KB (2-way)
データキャッシュ: 8KB (2-way)
スクラッチパッド: 16KB (Dual-port)
DMA
10-channel
コ・プロセッサ
FPU (浮動小数点乗加算器×1、浮動小数点割算器×3)
マイクロ命令用メモリ
命令: 4KB
データ: 4KB
ベクトル演算ユニット
VU0+VU1(浮動小数点乗加算器×9、浮動小数点割算器×3)
マイクロ命令用メモリ
命令: 16KB
データ: 16KB
浮動小数点演算性能
6.2G FLOPS/秒
三次元CG座標演算性能
6600万ポリゴン/秒
座標変換+光源計算
3800万ポリゴン/秒
座標変換+フォグ
3600万ポリゴン/秒
曲面生成(ベジェ)
1600万ポリゴン/秒
IPU
MPEG2 マクロブロックレイヤ・デコーダ
画像処理速度
1億5000万ピクセル/秒
製造プロセス
0.25μm→0.18μm
コア電圧
1.8V
消費電力
15W
メタル配線層数
4
総トランジスタ数
1050万トランジスタ
ダイサイズ
240平方ミリメートル
パッケージ
540ピン PBGA
メインメモリ
メインメモリ
Direct RDRAM (ダイレクト・ラムバス) PC800
メモリ容量
32MB (16MB×2)
バス幅
32bit (16ビット×2)
バンド幅
3.2GB/秒
周波数
800MHz
グラフィック
製品名
Graphic Synthesizer (グラフィックシンセサイザー)
コア
DRAM内蔵並列描画プロセッサ
クロック周波数
147.456MHz
DRAMバス・バンド幅
48GB/秒
内部総DRAMバス幅
2560ビット
Readバス幅
1024ビット
Writeバス幅
1024ビット
Textureバス幅
512ビット
混載DRAM容量
4MB
DRAM周波数
150MHz
最大表示色数
RGB 32ビット(RGBA 8ビット)
Zバッファ
32ビット
ピクセル・フィルレート
24億ピクセル/秒(Z,A)、12億ピクセル/秒(Z,A,T)
バーティクル描画性能
1億5000万個/秒
ポリゴン描画性能
7500万個/秒(微小ポリゴン)
5000万個/秒(48pix四角形、Z,A)
3000万個/秒(50pix三角形、Z,A)
2500万個/秒(48pix四角形、Z,A,T)
スプライト描画性能
1876万個/秒
画像出力フォーマット
NTSC/PAL、DTV、VESA(最大1280×1024ドット)
製造プロセス
0.25μm
総トランジスタ数
4300万トランジスタ
ダイサイズ
279平方ミリメートル
パッケージ
384ピンBGA
画像処理機能
Texture Mapping(テクスチャマッピング)
Bump Mapping(バンプマッピング)
Fogging(フォギング)
Alpha Blending(アルファブレンディング)
Bi-/Trilinear Filtering(バイ/トライリニアフィルタ)
MIPMAP(ミップマップ)
Anti-aliasing(アンチエイリアシング)
Multi-pass Rendering(マルチパスレンダリング)
サウンド
サウンド
SPU2 + CPU
同時発音数
ADPCM:48ch(SPU2)+ソフト音源数
サンプリング周波数
44.1/48KHz
ドライブ
対応ディスク
CD-ROM/DVD-ROM
対応フォーマット
PS1用CD-ROM
PS2用CD-ROM/DVD-ROM
CD-DA(音楽CD)
DVD-Video
ドライブ性能
CD-ROM 24倍速(3300KB/秒)
DVD-ROM 4倍速
インターフェイス
製品名
I/O Processor
CPUコア
PlayStation CPU+
クロック周波数
33.8688MHz/36.864MHz
Sub-BUS
32ビット
入出力
IEEE1394(S400)、USB
通信ポート
PCカード(PCMCIA)で対応

スペック解説

CPU

東芝と共同開発した「Emotion Engine」プロセッサを採用。MIPSIIIアーキテクチャベースのCPUコアを中心に、「VU0」「VU1」と呼ばれる「ベクトル演算ユニット」(VU)、 IPU(Image Processing Unit)と呼ばれる「MPEG2デコーダ」、RDRAMへのI/F回路などで構成されている。当時としてはありえないほど高性能で、軍事転用規制対象になった。「業務用最高性能のグラフィック・ワークステーションをも凌駕する描画プロセッサ」とSCEIの広報文にも掲載されている。

PS2が軍事転用の恐れがあるとして 通常兵器関連汎用品に指定される
http://gamez.itmedia.co.jp/games/gsnews/0004/17/news02.html

 

次世代プレイステーション向け世界最高速の128ビットCPU Emotion Engine を開発
http://www.sie.com/content/dam/corporate/jp/corporate/release/pdf/990302_3.pdf

当初は0.25μmプロセスで製造されていたEEが、SCPH-30000から0.18μmプロセスで製造され搭載された。微細プロセス化することでコストが安くなり、また発熱も少なくなって背面ファンも静音ファンが搭載されるようになった。

Emotion EngineはPlayStation2だけでなく、一部のSONY製のTV「WEGA」やAV機器のQUALIA 005にも採用された。

『PSX』等に搭載しているCPU「エモーションエンジン」および描画プロセッサー「グラフィックス・シンセサイザ」を採用し、高速で快適な操作性を実現する新しいGUI“XMB”を搭載しました。
http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200408/08-0819/

CPUのここが凄い!

当時では業界が騒然とする圧倒的な性能を、まさかのゲーム機に採用した点。そしてプロセッサ自体を進化させて、他の分野へ転用して革命を起こそうと試みた点。

グラフィック

CPUと同じく有名なグラフィックプロセッサ「Graphics Synthesizer」。ビデオメモリの帯域は48GB/sで容量は4MB。この公表されている「48GB/s」という数字は単一バスではなく、Readバス幅1024bit(19.2GB/s)、Whiteバス幅1024bit(19.2GB/s)、テクスチャ専用バス幅512bit(9.8GB/s)を合計したもの。それでも2000年発売にも関わらず、2005年に発売されたハイエンドビデオカードにせまる転送性能を誇っている。

しかし、ビデオメモリの少なさが問題となっている。VGA解像度のフルカラー画面(1.1MB)を表示する場合ダブルバッファ使用で倍の2.2MBが必要になり、さらに32bitZバッファが入ると残りが0.7MBしか残らなくなってしまう。PCのビデオカードではテクスチャ圧縮機能があるが、GSには搭載されてなく他に逃げ道が無いため各ゲームメーカーは過度なグラフィックを表示しないか、せこせこ展開・破棄を繰り返す努力を強いられている。

サウンド

同時発音数48音はPSのほぼ2倍、サウンドメモリ2MBは比較すると4倍もの性能である。内部は48KHz動作であるため、44.1KHz時はソフトウェアエミュレーションで動作している。

通信インタフェース

本機種にはUSB1.1/IEEE1394(i.Link)/PCカードバスorエクスパンション・ベイ等拡張インターフェースが多数ある。しかし、使用方法が当初の計画とは異なったようで、マイナーチェンジの後継機種では非搭載となったインターフェースもある。

  • USB1.1 周辺機器を接続を想定 ⇒ 現在も大して変化はないが、周辺機器はさほど登場せず。
  • IEEE1394 PS2通信対戦を想定 ⇒ 使用環境無し、のちに廃止。
  • PCカード LANカード・モデムの接続 ⇒ 外付けHDD出るも廃止、エクスパンションベイに変更
    ⇒ SCPH-70000から小型化のためエクスパンション・ベイも廃止

当初は本機種の同世代である「PlayStation Portable」と同じく「ゲームソフトをネットワーク経由で提供」というコンセプトを掲げていた。しかし、発売当時に今ほど常時接続ブロードバンド回線が普及していないため、ネットワーク機能は一部のオンライン対戦用などに使用されていた。

メディア

発売当時は超高価・ハイエンドの位にありそれほど普及していなかったが、CDのおよそ14倍の容量を持つ大容量なDVD-ROMを採用した。しかし供給するソフト全てではなく、ゲームソフトの容量に応じて、コストが安く記録面が青いCD-ROM、コストが高く大容量かつ高速な読み込み速度のDVD-ROMどちらかを選択して供給されていた。

SCPH-50000からはDVD±R/RWに対応し、自分で作成したDVD-Videoなども再生できるようになった。