
どんなゲーム機だった?
任天堂より1983年(昭和58年)7月15日に発売された家庭用ゲーム機です。ゲーム機としては「ゲーム&ウォッチ」に続いて2代目と言えます。
発売当時はTVゲームはゲームセンターでしかプレイできなく、家でゲームをするというとトランプや花札などに限られていました。製品パッケージにも「家庭用カセット式ビデオゲーム」と銘打っていたことでも分かるように、アーケードゲームが家庭でもできることと、ロムカセットを交換することにより様々なゲームを楽しむことができることが最大のメリットでした。
ファミコンの一番のターニングポイントは1985年(昭和60年)に「スーパーマリオブラザーズ」を発売し大ヒットしたことでしょう。この大ヒットにより家でゲームすることがひとつのステータスになり、家庭用ゲーム機の市場が拡大していきました。「自分や友達の家に集まってみんなでTVゲームをする」ことが始まった時期ですね。
2P側コントローラ(通称2コン)にはマイクがついており、叫んだり息を吹いて操作するゲームも一部ありました。が、そんなの関係無しにみんな叫んだり奇声あげたり遊んでたんじゃないでしょうか。
アメリカでもファミコンは発売していましたが、「Nintendo Entertainment System(NES)」という名前で売られていました。マザーの主人公「にんてん(Ninten)」の名前はアメリカでの愛称「ニンテンドー」から、マザー2の主人公「ネス(NESS)」の名前はアメリカ版スーパーファミコン「Super Nintendo Entertainment System(SNES)」のアナグラムが由来と言われています。
そして2016年11月10日に、当時のデザインのまま小型化しゲームソフトも内蔵した任天堂公式の復刻版「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」を発売しました。映像出力にHDMI、電源にUSBケーブルと現在の有名なインターフェースで構成されており、「映像が乱れるわACアダプターは線が切れるわ」で悩んでいた当時のプレイヤーは歓喜と逆に「こんなのファミコンじゃない!」という困惑でいっぱいなのではないでしょうか。
スペック・仕様
製品名 | ファミリーコンピュータ HVC-001 (国外名 Nintendo Entertainment System) |
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メーカー | 任天堂株式会社 | |
CPU | 製品名 | リコー製 RP2A03(6502カスタム) |
動作クロック | 1.79MHz | |
バス | 8bit | |
メモリ空間 | 64KB ($0000 – $FFFF) | |
メインメモリ | ワーキングRAM | 2KB (16Kbit SRAM) |
メモリ管理 | MMC(メモリマネージメントコントローラ)によるバンク切り替え | |
グラフィック | グラフィック | リコー製 RP2C02 |
ビデオメモリ | 2KB (16Kbit SRAM) | |
表示色数 | 最大52色 (基本13色×輝度4諧調) | |
同時発色数 | 25色 スプライト・BG 各4パレット(1パレット4色、うち1色は共通色) スプライト4×3色+BG4×3色+共通色1色 = 25色 |
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解像度 | 横256ドット×縦224ライン(内部は240ライン) | |
スプライト | サイズ8×8ドット 1画面中に64枚表示可能(水平8枚まで) 水平・垂直反転可能 |
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BG | 256×240の領域を2画面(追加VRAMにより最大4画面) 8×8ドットを256個(色は16×16ドットの範囲ごとにパレットで指定) ※テレビへの信号出力とBG面の描き換えは同時に行えない |
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サウンド | サウンド | RP2A03に内蔵 |
音源 | FM 4ch 矩形波 2系統 主にメロディ・サブメロディ 三角波 1系統 主にベースライン ノイズ 1系統 主にドラム系・ハイハットPCM 1ch DPCM 1系統 サンプリングされた音の再生ミキサー 本体と拡張音源の合成 |
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その他 | 7.1chサラウンドデコード / 3Dサウンド機能 | |
メディア (カートリッジ) |
メディア | カートリッジROM |
最大容量 | 8Mbit (1MB) 「メタルスレイダーグローリー」 | |
セーブ | リチウム電池によるバッテリーバックアップ(対応ソフトのみ) | |
メディア (ディスクシステム) |
メディア | 磁気ディスク |
最大容量 | 両面 896Kbit (112KB) セーブデータ領域 16KB |
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セーブ | 専用領域への書き込み | |
読み込み | シーケンシャルアクセス (飛ばずに最初から順に読み込む) |
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最大記録密度 | 4410BPI (クイックディスクの仕様より) | |
ディスク回転数 | 423rpm (クイックディスクの仕様より) | |
エラー確認 | CRC (クイックディスクの仕様より) | |
その他 | 出力 | 映像:RF 音声:モノラル |
コントローラ | 2個(非脱着式) | |
消費電力 | 4W | |
外部接続 | 15ピン拡張コネクタ | |
希望小売価格 | 14,800円(税抜き) | |
質量 | 620g | |
発売日 | 1983年7月15日 |
スペック解説
CPU
モトローラ社の「6502」に、サウンド・DMA転送機能の追加、BCD演算機能の削除を施したリコー製の「RP2A03」を採用している。
6502は64KBのメモリ空間を持っているが、技術進歩によるカートリッジROM容量の増加やディスクシステムの登場などによりメモリ空間の枯渇が生じた。そこで、メモリ空間拡張のために別途カートリッジにMMCチップを搭載することでバンク切り替えを行い、大容量ROMに対応した。
CPUのここがすごい!
当時は50万円以上した超高級な16ビットPCでしかできなかったゲームを、安い価格で提供できるよう8ビットCPUで実現した点。
グラフィック
ファミコンでは「スプライト」と「BG」というレイヤー2つで構成され、いろいろ組み合わせることでグラフィックを表示させる。BGは背景、スプライトはオブジェクトに使用されることが多い。
グラフィックは8×8ドットの「チップ」を組み合わせて作る。画面には64枚のチップ(水平最大8枚)を表示できる。ファミコンの画面は4枚の横32ブロック縦30ブロックの仮想画面を上下左右に繋ぎ合わせたような 構造になっており、スクロールレジスタI/Oに座標を書き込むことで表示領域決定とスクロールを行う。
ファミコンプレイ時、周りがスクロールしているときに頻繁にオブジェクトやBGの一領域が取り残されたように画面更新が少し遅く表示されることがある。これは「ラスタスクロール」といい、VRAMに書き込める時間以外にスクロール値を更新することで、あえてラインをずらし任意のタイミングでのスクロールを実現している。
グラフィックのここがすごい!
テレビの画面にいっぱい画像を表示すると、PCレベルの相当な性能が必要。ファミコンの少ない性能の中で効率よく滑らかに表示できるようにした点。
サウンド
FM音源4チャンネルとPCM音源1チャンネルの計5チャンネルから成り立っており、カートリッジ側でも拡張音源を搭載することでさまざまな音色を実現している。
実際には、64KBのメモリ空間の中でしか表現できないので、容量を多く必要とするPCM音源などは微量しか使用できなかった。
サウンドのここがすごい!
チップチューンと言う音楽ジャンルができるほど透き通ったFM音源と、全ての音が再生できるPCM音源を両方採用した点。
コナミサウンド等独自サウンドチップでメーカーそれぞれの個性が出たのも大きい。
メディア
初期は40KB程度の容量しかなかったROMカセットだったが、ディスクシステムの登場により約3倍の容量であったり「PWM音源」の搭載、コンティニュー時のパスワードが不要などといった革新を実現した。
しかし、ROM技術も発達し、安価にバッテリーバックアップの搭載や最終的に8Mbit(1MB)までの 容量増大が実現したため衰退していくこととなった。また、ディスクシステムではシーケンシャルアクセスであるため、ランダムアクセスができずに毎回同じ時間長いロードが必要だったことや、頻繁にデータ書込を行うソフトでは、書込時のエラーによってゲームそのものが使用不能になる要因とされている。
メディアのここがすごい!
ファミコンのCPUへの直通バスがあるROMカセットを採用した点。これにより製造コストは増えるが、ROMカセットの方で様々な機能を増やすことができた。